欠測を埋める前の架空の人数
両群とも6か月時点、直前7日間の紙巻きたばこ非喫煙を評価。不明は結果未取得であり、観察された喫煙ではありません。実データではありません。
| 記録の状態 | A群 | B群 |
|---|---|---|
| 無作為割付 | 100 | 100 |
| 条件を満たすと判明 | 20 | 10 |
| 条件を満たさないと判明 | 60 | 50 |
| 結果不明 | 20 | 40 |
追跡不能と欠測は同じ範囲ではありません
連絡が取れない以外にも、来訪したが必要な評価を提供しない、記録を入手できない、といった欠測があります。割り付けられた介入をやめたことも、結果がないこととは別です。その後の評価が得られている場合があります。
観察された喫煙、自己申告の欠測、確認データの欠測は分けて読みます。確認を要する評価項目なら、その定義も確認します。記録上の条件を満たさないという分類は、本人が実際に吸ったという観察や動機の判断ではありません。
この慣行の背景にある考え方
2012年のインターネット禁煙試験の方法論論文は、禁煙した人ほど結果を知らせやすいかもしれないという、よく使われる理由を説明しています。その場合、回答者だけの割合は良く見えすぎる可能性があります。ただし回答過程についての仮説であって、不回答者に共通する事実ではありません。
欠測をすべて非禁煙にすれば、その人たちは分母に残り、計算も簡単です。しかし結果を取り戻すことも、不確かさをなくすこともできません。同論文は比較効果が常に保守的になるとの見方を問題にしています。特定の試験の状況やモデルを、すべての支援に当てはめません。
埋める前に、分かっている人数を並べる
表はすべて架空で、実際の試験や治療ではありません。AとBに各100人を無作為に割り付け、6か月時点に直前7日間の紙巻きたばこ非喫煙を評価するとします。得られた状態は正しく、未知の結果だけが残っていると仮定します。
Aは条件を満たす20人、満たさない60人、不明20人。Bは10人、50人、40人です。不明をすべて非禁煙とすると20/100=20%と10/100=10%、A−Bは10パーセントポイント。数字を計算しても、不明な結果を観察したことにはなりません。
二つの低い割合から、差は高く出ることもある
論理だけを確かめるため、Aの不明20人は誰も条件を満たさず、Bの不明40人のうち15人は満たすと想像します。完全な人数なら20/100と25/100となり、A−Bはプラス10ではなくマイナス5パーセントポイントです。元の規則は各群の割合を下げるか変えない一方、この仮定での差を高く見積もっています。
実際の不回答者にこの結果を当てはめるのではありません。現実の試験で妥当な仮定と認めたわけでも、Bが良いと示したわけでもありません。各群を低く計算しても差が低くなるとは限らない、という数学上の反例です。実際の感度分析には研究に即した仮定の根拠が必要で、本例にはありません。
欠測者を除けば真実が分かるわけでもありません。この例の得られた結果だけなら20/80=25%、10/60≈16.7%です。別の分母による記録の割合であり、全員の割合として読むには別途仮定が要ります。
感度分析では、問いまで変えない
研究計画書や統計解析計画で、対象集団、評価項目、比較、主たる欠測処理、予定した検討を探します。ICH E9(R1)は、同じ推定対象で仮定を検討する感度分析と、別の問いへの解析を区別します。時点や対象集団を変えることは、欠測の仮定を変えるだけではありません。
根拠のある別の仮定で結論が大きく変わるか、事前計画か事後追加かを読みます。妥当性は研究の情報と状況から説明するもので、都合のよい数字からは決まりません。欠測が一定割合未満なら安全という普遍的な境界はなく、両群の欠測数が同じでも理由や未知の結果が同じとは限りません。
実際の論文では群別の取得数と欠測数、分かっている理由、評価項目と時点、処理規則、報告された感度分析を残します。分析が見つからなければ、読んだ資料には欠測仮定への依存が示されていないと記します。頑健性を勝手に認定したり、参加者の私的情報を探したりしません。
分からない部分も残す要約
この例なら「欠測をすべて非禁煙と扱った架空の割合は20%と10%、差は10パーセントポイント。この規則は不回答者の行動を示さず、比較効果の下限も保証しない」と書けます。信頼区間や因果的な利益は示されていません。
個人の支援は解析の規則では選べません
厚生労働省は禁煙支援マニュアルを公開しています。個人に必要な支援は、資格のある医療職や地域の禁煙支援機関に相談し、現在の提供内容を確認してください。研究の欠測処理から、本人の状態や支援方法を選ぶことはできません。
覚えておきたいこと
出典
このページの主な記述は、以下の資料と照合しています。
- Cochrane: Cochrane Handbook chapter 8, §8.5 — bias due to missing outcome data
出典確認日: 2026-10-04
- International Council for Harmonisation: ICH E9(R1), adopted 20 November 2019 — estimands, assumptions and sensitivity analysis
出典確認日: 2026-10-04
- BMC Medical Research Methodology: Jackson et al., 2012 — missing-data assumptions in an Internet smoking-cessation trial
出典確認日: 2026-10-04
- 厚生労働省: 禁煙支援マニュアル
出典確認日: 2026-10-04
一般的な研究読解であり、個人の喫煙判定、予測、治療選択ではありません。人数はすべて架空で、個人情報の入力、保存、送信は求めません。